回生はしない方がいい、とはどういうことだ?と質問をいただきました。
取説を見てみると、回生しない方がいい、とは書いてないと思いますが、
実際どうなのか、考えてみました。
回生をした方がいい、というのはいささか簡単に考えすぎかと思います。
回生で取れるエネルギーというのは、天からの授かりものではなく、
これまでにエネルギーを消費して速度に交換したものだからです。
出したり入れたりして、その度に伝達損失を払っているので、
何も出し入れしない方がましだということです。
働いて稼いで税金払って、消費して税金払うようなものです。
10万円分働いて、税引き後9万円もらって、8万円のものしか買えません。
だから、回生しない方がいいと片付けるのは簡単ですが、
ちょっと考えてみたいと思います。
まずは、3つに分けてみます。1つ目は平地の加減速、2つ目は平地の信号停止、
3つ目は下り坂です。それぞれで、どう回生するのがよいかを考えます。
こんな感じで、EV走行で一定速で走る点線のパターンと、
一旦回生ブレーキで減速し、EVで加速する実線のパターンを
考えてみます。
例えば、60km/hで走っていて、減速する方は30km/hまで
減速するとします。60km/hの走行エネルギーは250J/m、
30km/hは150J/mとします。空力+ころがり抵抗の走行抵抗が
それだけあるということです。
ざっと燃費的な条件の違いを考えると、一定速は加減速しない分、
電流の出し入れは少ないであろう、だから伝達損失は少ない。
逆に、速度は加減速する方より高いので、走行抵抗は大きい。
ですので、このどちらが寄与度が大きいか、です。
始まりから終わりまでの距離が100mとすると、走行に要するエネルギーは
一定速は25kJ、加減速はだいたい20kJくらいと思われます。
で、加減速に使われるエネルギーですが、50mで60→30km/hにするので、
8.3m/sの速度変化、それが4秒くらいですかね、減速度は2m/s^2くらいです。
加速度も同じですね。すると、0.2Gですので、1000kgの車として、
2000Nくらいの力で加減速することになります。
車速は変化しますが、平均12m/sくらいとして、かけて24kWくらいの加減速パワーに
なります。20%が損失になるとして、10秒続くとすると、損失は48kJとなります。
加減速は走行抵抗で得をしている分は5kJ(伝達損失もありますが)、損している分は48kJ
なので、加減速しない方が得になります。
それで、距離が1000mとなると、ちょっと話が変わってきて、
走行に要するエネルギーは10倍になるので、それぞれ250kJと200kJになります。
加減速は、減速度が1/10になって、継続時間が10倍(距離が10倍なので)になるので、
48kJは変わらずとなり、50kJ差と48kJ差ということで、損得がなくなります。
つまりは、回生した方がいいかどうかは回生する距離にもよるので、一概には言えないと
いうことになります。急ブレーキはだめだけど、じわっと減速すると、平均速度が下がるメリットが
でてくるよ、到着時刻は遅くなるけどね、ということです。続きはまた。