いきなりグラフですが、強制充電は名の通り、EVにしようとして
アクセルオフ、ブレーキを踏んでもエンジンが止まらず充電を
続ける状態です。どんなHV、PHVにも存在するはずです。
(そうでないと、放電しっぱなしになってしまうので)
それで、強制充電というのは、いわばSOCの最低ラインで
起こります(いわば、と書いたのは例外もあるので・・・)
で、強制充電になると燃費が悪化するといわれています。
なぜなのでしょうか。
車が止まっている時に充電すると、これはダメですね。
軽負荷のエンジン駆動になるので熱効率が悪いです。
では、強制充電が始まってから解除するまでなるべく
加速しながら走るとどうなのでしょうか。充電はどうせするので
エンジンがかかっている時は負荷がある程度大きい方がいい、
ので強制充電と言えど、負荷が大きい状態を狙えば
燃費は悪くならないのでは?
どうも他にも燃費悪化の要因がある、というのが
アクアでの調査結果のグラフです。
緑は電流(マイナスが充電)、青がSOC、そして赤は
電流積算値です。
そもそもSOCってどうやって出しているのでしょうか。
SOC制御はSOCを用いて行っています。これはどのHV、PHVも
そうではないでしょうか。SOCは電池監視コンピュータが算出しています。
SOCってどうやって計算するのだろうか・・・
一つ言えるのは、SOC-OCV特性というのがあって、OCVで一意にSOCが
決まるようです。OCVというのはオープンサーキットボルテージの略で、
開放端電圧です。
でも、開放端電圧はわからない(端子は閉じていて、いつも電流は流れているので)
ので推定します。閉じた端子の電圧は開放端電圧+IR(電流×内部抵抗)なので
電流と電圧がわかればOCVはわかります。いや違うんじゃない?と
思います。だって、SOC50%で20A流しているときの電圧は140Vだったり160Vだったり
するわけですから。それまでの履歴というパラメータも必要です。
だからOCVはよくわからないのでおそらく一般的なのが、電流積算を用いたSOC推定です。
例えばアクアなら、6.5Ahのバッテリなので、0.65Aで1時間電流を流せば、SOCは10%減るという
計算です。でも、この計算には欠点があります。劣化した時にどうするのかということです。
経年劣化で徐々に満充電容量が減るはずですが、減ってるのに0.65Aで1時間流したSOC
は10%分だ、と言ってるとそのうち辻褄が合わなくなってきます。ではどうするのだろうか・・・
そんなことを思いながら、強制充電時には、SOCが上がらないという現象があります。
図のように、SOC39%付近では、充電してるのに、SOCは上がりません。
それが赤と青を重ねるとよくわかります。ずっと赤が青に重なっていることでSOCは
電流積算で計算されていることが推定できます。
ところが強制充電になったとたんにそれが崩れて、SOC40%くらいでまた復活するようです。
理由はわかりませんが、現象としては、強制充電時は10-15秒間は充電させられるけど
SOCは増えない、エネルギーを溝に捨てる状態だということです。量にして恐らく10cc前後かと
思います。グラフのその後は示していませんが、この赤と青のズレが後で解消される、
辻褄が合うということであればエネルギーの無駄はないのですが、どうもそういうことはないようです。
ということで、この、充電しているのにSOCが増えない状態に注意すべきでしょう。