10馬力のスクーターと馬10頭が引っ張りあったらどうなるか
という記事を見ましたが、この比較はまずいですね。
10馬力のエンジンが10馬力出してる状態ってどういう状態かというと・・・
イメージ的には、明らかにこの赤丸のところなんですよね。
10馬力のスクーターで言うと、最高速で全開で走っている状態でしょうか。
馬と引っ張り合うのは発進のところなので、10馬力も出てるわけありません。
馬力というのは出力=Wを単位換算したもので、仕事率を表して
います。仕事率というのは単位時間にした仕事のことです。
仕事はエネルギーを使ってした作業で成果がでているもの、というイメージでしょうか。
例えばA地点からB地点まで荷物を移動したら、それは仕事をしたことに
なります。逆に荷物にいくら力を入れて押してもA地点から動かなければ
仕事をしたことになりません。仕事がゼロなので仕事率もゼロです。
なので、馬と引っ張り合うときの力比べは馬力で比較するのは不適当です。
力で比較しないとだめですね。グラフで言うとこんな感じです。
ここの赤丸のところです。回転数(=速度)ゼロでの力です。馬力はこの図で言うと、オレンジの
矢印の部分で、青線で言うと双曲線の部分で、赤丸の高さには関係がありません。
どうしてこうなるかと言うと、馬力は仕事率で、速度が関係するからです。
馬力すなわち出力は力×速度、あるいはトルク×回転数になります。
同じ力をどれだけの速度で出せるか、が仕事の能率を表すということです。
自転車をこぐイメージで言うと、速度にかかわらずペダルの重さが一定とすると、
ペダルを2倍の速さでこぐと、2倍の距離進める(2倍の仕事ができる)、
仕事率(=出力=馬力)は2倍ということです。出している力(トルク)は同じです。